会社法とは、会社法制の現代化に対応するため平成18年5月1日施行された法律です。それまで、「会社法」という独立した法律は存在せず、商法の第二編、有限会社法、商法特例法というそれぞれ別個の法律に基づいて実務が運用されていました。平成に入り、会社分割制度の創設や持ち株会社の解禁など、次々と新しい制度が出来る度に商法を改正して対応してきましたが、新しい時代に対応すべく、一つの法律として再編成されたものです。
会社法施行において目玉となっているのは、なんといっても株式会社における定款自治の拡大です。有名なところでは、株式会社は原則として1,000万円以上の資本金と役員4名(取締役3名・監査役1名)がいないと設立できませんでしたが、会社法では資本金の制限はなくなり、役員についても最低1名いれば設立できることになりました。その他の詳細については後述しますが、旧商法の常識が通用しなくなる大改正でした。
商法時代は定款の記載内容ががんじがらめになっており、どの会社の定款もだいたい同じ内容でしたが、現在では自由度が高すぎて定款案を構成する際はかなり実務家としての知識とセンスを問われます。例えば、一番シンプルなテンプレートどおりに定款を作ってしまうと、株主に相続が発生した場合の定めがなかったりしますので、小規模な会社では株主総会に支障が出るケースが考えられます。最悪の場合、会社を乗っ取られます。詳細については株式のテーマの際にお話ししますが、ただ定款を作るだけなら誰でも出来てしまうのが怖いところです。実は非常に奥が深く、落とし穴も多いのが会社法における定款なのです。逆にいいますと、定款を極めれば会社法も極めることができるといっても過言ではないのではないかと思います。
次回は会社法のメインである株式会社の全体像からお話を進めたいと思います。