お客様からの質問が多い典型的な株式会社の設立の流れについてご紹介します。条文上の細かい流れは排除して、千葉での設立で一番多いパターンを分かりやすく編成しました。
『(例)発起人1名、設立時取締役1名、資本金の額300万円の株式会社設立の流れ』
1.発起人による定款の作成及び公証人による定款認証
定款には発起人が実印を押印し、印鑑証明書を添付します。電子定款の場合は、電子定款作成代理人が電子署名しますので、委任状に発起人の実印を押印します。実印押印の後、公証役場という所へ出向き、公証人の先生に定款の認証という手続きをしてもらいます。
千葉の県内に本店を置く会社を設立する場合は千葉地方法務局管轄の公証人に認証してもらう必要があります。つまり、千葉の県内にある公証役場で定款認証してもらうことになります。公証人の先生に支払う手数料は通常52,000円程度です。
なお、行政書士に電子定款作成代理を依頼した場合は行政書士が公証役場へ出向きますので、発起人の方は公証役場へ出向く必要はありません。
2.発起人による株式引受及び出資の履行
出資の履行とは、すなわち資本金を銀行口座に入金することです。この時点では会社の口座は作れませんから、発起人個人の銀行口座に300万円(1円でも過不足があったらダメ)を入金し、通帳のコピーを取ります。
発起人が複数いる場合は、発起人ごとにお名前と出資金額が一致するようにご入金してください。振込の場合、振込手数料等が差し引かれて金額が一致しなくなると再度、入金手続きをやり直しとなりますのでご注意ください。
3.設立時取締役等の選任
原始定款にて設立時取締役等を定めている場合は、この手続きは省略できます。本事例では設立時取締役が1名ですので、自動的に設立時代表取締役となります。
4.設立時取締役等の調査
株式会社設立登記申請において、現物出資等がない限りは調査報告書は法務局に提出不要です。理由は発起人=設立時取締役の会社が自分で自分を調査しても信用ができないからだと推測されます。しかし、調査報告自体は株式会社設立において必ず行わなくてはならない手続きです。
5.株式会社設立登記申請
本店所在地を管轄する法務局へ登記を申請する日が会社成立の日となります。千葉の県内に本店を置く会社設立はすべて千葉地方法務局(本局)に申請することになります。登記が完了した後の登記事項証明書については、最寄りの法務局(支局・出張所)で取得できます。たとえば、千葉県木更津市に本店を置く会社を設立した場合、設立登記申請書は千葉地方法務局(本局)へ申請しますが、登記が完了した後の登記事項証明書(会社謄本)は千葉地方法務局木更津支局にて取得することができます。
また、法人格は登記申請日に生じますが、登記事項証明書取得(登記が完了するまで)には平均で1週間程度かかります。銀行口座開設や許認可申請などは登記事項証明書が取得できないと申請できませんので、会社成立の日に登記事項証明書取得ができるわけではないことをあらかじめご承知おきください。