「序論・株主総会の正体」
今回からは、株主総会についてのお話しです。会社法では招集通知の方法や議決権など、かなり細かく規定しているのですが、初回ですので条文の解説は省いて株主総会って実際はどういうふうに行われているの?というお話しからしてみたいと思います。
株主総会は、株式会社の所有者が集まる総会であり、最高決定機関です。会社法では株主総会+取締役のみという機関設計が認められましたので、株主総会の重要性は益々高くなったといえます。
株主総会というと、東証一部上場企業のようなホールを貸切っての一大イベントというイメージが先行しがちですが、圧倒的大多数のいわゆる中小企業の株主総会は日常の会議と大差ありません。本店の会議室や応接室で開催されることが多いです。
さらに、会社法では株主全員の同意書を揃えることで株主総会の決議があったものとみなすといういわゆる書面決議も認められています。金融機関や大手企業の子会社などは関連会社が株主となっていることが多いので、株主総会を開催せず、書面決議を採用する会社が増えています。その他書面決議の詳細については、後述いたします。
最近の株式会社設立の主流である1人株主の会社などは「株主総会は株主総会議事録にハンコだけ押して終わり」というのが普通です。株主が1人しかいないのに自分が議長になって「第一号議案○○に関する件」なんて読み上げても聞く人がいないですからね(^^)つまり、株主(ほとんどが代表取締役兼任)が自社の構想などを頭の中で決定して、所定の書式にあてはめていく作業が1人会社の株主総会なのです。
株主2~3名の同族会社も1人株主の会社と同様に株主総会議事録のみで済ませてしまうことも多いですし、ダイニングで夕食をしながら「来月から会社の商号を変えるぞ~。」なんて話をするのも立派な株主総会です。会社法施行規則において株主総会議事録に記載しなくてはならない事項が細かく規定されていますので、書面でみるとかなりお堅い文章になるのですが、ほとんどの株式会社の株主総会というのは、かなりあっさりしたものなのです(^^;)
次回は、株主総会の種類と招集方法について考えていきます。なぜ株式会社の最高決定機関である株主総会がこんな簡潔にできるのかという理由も条文を交えながらお伝えしていく予定です。